大行進 1stフルアルバム 「大行進」
         (2003 BATTLE MARK [GM-02])
 1.闘いの序曲
 2.闘魂行進曲
 3.大行進
 4.闘人
 5.再戦
 6.不死鳥
 7.日没
 8.BRAVE NEW WORLD
 9.爆進行進曲
10.凱旋行進曲

〜アルバム解説
前作「闘魂行進曲」はあくまで凱旋MARCHの旗揚げであり、ほんの挨拶代わりであった。
本作は、齋藤の「メタル然とした曲を中心に収録する」との予告通り、
勇壮にして屈強なる凱旋流メタルチューンが満載されている。
前作で見られたストレートでキャッチーなナンバーは数曲にとどまり、練り込まれた曲構成のもとに
軍歌的なメロディ、インパクト溢れる歌唱&コーラス&掛け声、
大仰なことこの上ない熱い歌詞…といった「凱旋印」が散りばめられている。
所々でヘヴィ・ロックやスラッシュメタルの影響も感じるが、勿論ただの真似などではなく
軍歌的な音楽性との見事な融合がなされている。
オペラティックな「不死鳥」、12分にも及ぶ渾身の大作「凱旋行進曲」といった曲もあり、
そこにも彼等の音楽性の幅、そして作曲能力の高さを感じる。
もはや、単に「軍歌メタル」の一言では片付けられないスケール感を醸し出している。
プレイ面で特筆すべきは、齋藤のヴォーカルだ。
前作は、所々で雑な感じの歌唱が目立ったが、今回はそういったことはなく、
時にはオペラ歌手のように、スケール感溢れる朗々とした歌唱を聴かせてくれる。
格段に良くなったサウンドプロダクション、前作とは比較にならないほどの迫力の漢コーラスも
聴き手を圧倒するほどの威力で迫り来る。
凱旋MARCHの勝負作であり、彼等の底力が窺える渾身の力作だ。



〜楽曲解説&感想

1.闘いの序曲
アルバムの冒頭を飾る、高らかなファンファーレ。
これから繰り広げられる、凱旋MARCHの勇壮極まる音世界を予感させるものとなっている。
最後に闘人達の咆哮が響き渡り、「闘魂行進曲」へと続く。


2.闘魂行進曲
前作のタイトルチューンでもある、押しも押されぬ彼等の代表曲。
名曲として歴史にその名を刻むために、今回新たに再録して収録されたものである。
前作のバージョンを遥かに上回る音圧と気迫で、聴き手の心に闘魂の炎を灯すこと請け合いだ。

3.大行進
いきなり繰り出される躁的なリフを中心に据えた、力と疾走感で漲るタイトルチューン。
「March on! 勇猛戦士!! March on! 集結せよ!!」「闘志! 勇気! 常勝戦士!!」といった
仰々しさこの上ない、熱さ極まる掛け合い咆哮パートが非常に印象的である。
ヘヴィ・ロックの影響もちらりと伺え、彼等の音楽性の幅を感じる。
そこから展開される、キャッチーで勇壮なメロディの流れは実に見事な出来映え。
サビ「Big march on!」では、ライヴの度に闘人の叫びがぶちかまされる。
間奏部では、スローダウンしたマーチのパート、それとは好対照を為す
フラッシーなギターソロが実に力強く迫り来る。
そして大サビでの、齋藤の「全身に漲る闘志は 全てを打破する勇敢の証」
堂々と歌い上げる歌唱は、前作でのそれを確実に凌駕している。

4.闘人
獣が噛みつくような獰猛なリフ、スローダウンして放たれる「必殺仕事人」っぽい
雰囲気のギターフレーズ、そして敵陣深くへと攻め込むような歌メロが印象に残る疾走曲。
歌詞も、不撓不屈の精神溢れる漢の、野獣の如き力強い生き様を歌っている。
アニメの主題歌に使われてもおかしくないキャッチーさを備えると同時に、勇壮なことこの上ない
稀有のクォリティを持った歌メロは実に魅力的で、背筋と目頭に戦慄さえ覚えるほど。
特に、齋藤が鋭く斬り込むように歌うサビの「Man is a 闘人」のくだりはついつい口ずさんでしまう。
獰猛さ溢れる刻み、様式美っぽいフレーズがチラリと聴けるソロといったギターワークにも注目したい。
「闘魂行進曲」「炎を上げて」といった代表曲に続いて、BRAVERの間で末永く語り継がれるであろう名曲。
ちなみにアルバムリリース前から既に何度もプレイされており、ファンにはお馴染みだ。

5.再戦
反骨と反逆の魂が凝縮された、彼等ならではのバンカラ応援団風マーチングメタルナンバー。
彼等独特のリフワークをもとに、逆襲を仕掛ける戦いの前の決意、気迫、
そしてひりつくような緊張感がいっぱいに表現されている。
力強さと軍歌的な哀感を兼ね備えた歌メロ、お得意のユニゾン歌唱、
そして「闘志! 闘志! 闘争心!!」「Revenger! Revenger!」
「Fight! Fight! Fight to win!」
といった、聴き手の闘志をこれでもかと煽り立てる掛け声が印象的だ。

6.不死鳥
タイトルは「ふしちょう」ではなく「フェニックス」と読む。
凱旋MARCHの音楽性をオペラティックに昇華した、実に意欲的なナンバー。
ずっしりと重いリフを中心としたパートから、齋藤のオペラ歌手を思わせる逞しい歌唱が光る
勇壮極まりないマーチングパート、不死鳥が翼をゆっくりと広げるようなスケール感溢れるパートと、
色とりどりの曲調を散りばめた曲想は彼等の作曲能力の高さのみならず、
その不死鳥の如き不屈の精神を感じさせるものとなっている。

7.日没
彼等ならではのヘヴィ・バラード。
闘人の日々戦う姿、そしてその決意がひたすらに重い曲調で淡々と歌われる。
そしてサビでは、雄大なスケール感と漢の浪漫で溢れるメロディが
唄われている昇り沈む太陽の情景と相まって、聴き手を静かに力づける。
昔聞いた「日は昇り、沈む。そしてまた昇るのだ」との言葉を、この曲を聴いてふと思い出した。
クリーントーンによるギターソロも、曲にピッタリとはまっている。

8.BRAVE NEW WORLD
歌詞・曲共に雄大なスケール感を感じさせる、彼等お得意の軍歌メタルチューン。
哀感溢れる軍歌的な男泣きメロディ、ポジティヴで力強い歌詞は、
日々の闘いに疲れた者達を癒しつつも、力強く鼓舞してくれることであろう。
ライヴでこの曲が演奏されたとき、思わず泣きそうになってしまったこともあった。
個人的には「もう戻れない日々を悔やみ続けずに 今を見つめて
待ち受ける明日へ挑む姿に 太陽は微笑むから」
という一節がすごく好きだ。

ギターソロからコーラスの流れも、軍歌的で雄々しく、そして泣けるほどに素晴らしい。
この曲も、「闘人」と同じく、アルバムリリース前からライヴにて幾度も披露されている。

9.爆進行進曲
「大行進」と雰囲気のダブる疾走ナンバーだが、仰々しいイントロ、ヒステリックなリフ、
スラッシーな曲展開が、曲に独特の緊張感を添えている。
「大地揺れる程に 踏み込む豪快な決心」「風雲流れる空 魁る 我の蒸気が天空へ上る」等々の、
巷では絶対に聴かれることのない、矮小なる常識的な感覚を突き破る大仰で勇壮な歌詞が、
緩急を交えつつも力強く疾走するリズムの下に、朗々と歌われる。
サビのメロディは実にキャッチー、かつスケール感に溢れており、
「我等の進む道は 明日へと続く」と力強いユニゾンで迫り来る。
そして、間髪入れずに続く齋藤の咆哮
「常時前進! 常時前進! 常時前進! 常時爆進March!!」
強烈極まりないインパクトを放ち、聴く者の脳裏から少なくともしばらくの間、もしくは一生離れないであろう。
曲調を様々に変えながら、ひたすらに爆進するこの曲もまた、
日々の苦闘に喘ぐ者の背中を力強く後押ししてくれるに違いない。


10.凱旋行進曲

彼等の総力を詰め込んだ、12分にも及ぶマーチングメタルの大作。
もちろん、サッカーのワールドカップで広まったクラシックの同名曲とは全くの無関係である。
トランペットのファンファーレを思わせるギターが高らかに鳴り響き、複雑なイントロを経て
軍歌的でありながら躁的なキャッチーさをも備えたメインパートが繰り出される。
そのメインパートで、齋藤が「凱旋March!」と高らかに歌い上げるのだが、まるで勝利の鬨の声のようだ。
軍歌的な哀愁とマーチング的な力強さを交えつつ、緩急をつけた起伏に溢れる曲展開の妙は
IRON MAIDENやHELLOWEENの大作と同等の構成力を見せつける。
自らの生き様を歌った力強く熱い歌詞、漢ユニゾン、闘人達の勝利の勝鬨といった
彼等の数々の特色も、これ以上ないくらいに詰め込まれている。
現在の凱旋MARCHの音楽性の全てを集約した、まさにバンドのテーマ曲といえるナンバーだ。